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遺言書は書いた方がいいの?遺言書が必要なパターンとは

遺言書

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昨今、「争族」ということばが表すように相続を争った事件が増え、その回避のため遺言書を残す人が増えています。

数々の相続の現場を見てきて、「遺言書があればよかったのに」と思うこともあれば、「こんな遺言書ないほうがかえってよかったのに」と思うこともあります。

遺言書は何のために書くのか、そしてこんな遺言書は書かない方がマシと思うものをお伝えします。

遺産の分け方のルール

遺産の分け方は、遺言書があるかないかで次のようになります。

遺言書がある ☞ 遺言書どおりに分ける

遺言書がない ☞ 相続人全員の話し合いで分ける

遺言書は何のために書くのか

遺言書は必ず書かなければいけない、というものではありません。

遺言書がない相続が大多数であり、遺言書がないからといって揉めることもあまりありません。

遺言書は何のために書くのでしょうか。

自分が残したいように残すため

  • お世話になったあの人に遺産を残したい
  • 家を継ぐ長男には不動産を、他の子どもには現金を渡したい
  • 長女には留学資金や自宅新築資金をあげたので、遺産はできるだけ他の家族に残したい
  • 障害のある子が生活に困らないようにしたい

・・・など

遺産を残すにあたり、いろいろな思いがあることと思われます。

遺言書を書いておけば、自分が遺産をあげたいと思う人にあげたいものを残すことができます。

特に法定相続人以外に遺産を残したい場合、遺言書が必須になります。

ただし、遺言書を作成する場合には「遺留分」に気を付けましょう。

 

遺言書がない場合、法定相続人全員の話し合いでどのように遺産を分けるかを決めます。

法定相続分にしたがって分けなくてもかまいません。

法定相続人相続人は誰がなるの?法定相続人の範囲と順位の確認方法

 

相続争いの回避のため

  • 子どもたちの仲が悪い
  • 前妻の子がいて、今の妻子と相続争いにならないか
  • 財産は自宅がほとんどであり、あとは預金が少しあるだけで相続人で均等に分けることができない

・・・など

自分の遺産のために残された家族が揉めることを考えると寂しい気持ちになります。

特に家族の仲が悪い場合、遺言書を残して自分で遺産の行く末を決めておけば、後々の相続争いを回避することにつながります。

遺言書で自分の意志をハッキリ伝えましょう。

 

遺言書の作成方法【自筆証書遺言と公正証書遺言】

遺言には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。

自筆証書遺言は手軽に作ることができますが、書き方の細かいルールがいくつもあり、偽造や改ざんなどの心配もあります。

一方公正証書遺言は、公証役場で公証人という法律のプロが作成してくれます。

費用はかかりますが、安全で確実な公正証書遺言を作成することをお勧めします

自筆証書遺言 公正証書遺言
作成方法 遺言書を記載した日付、自分の名前、財産の分割内容などをすべて手書きし、実印で押印する。
ただし、財産目録はパソコンや代筆での作成や通帳コピーの代用でも可。
遺言をする人が証人2人以上とともに公証役場に出かけ、公証人に遺言内容を口述し、公証人が筆記して作成。
メリット ・自分一人でいつでも書けるため手軽。
・費用がかからない。
・形式不備等により無効になる恐れがない。
・公証役場にて保管されるため安心。
・家庭裁判所による検認手続が不要。
・相続発生後、そのまま相続登記などの手続きに使える。
デメリット ・形式不備等により無効になる恐れがある。
・自分で保管するため紛失、改ざんの恐れがある。
・家庭裁判所で開封手続(検認)をする必要がある(自分たちの手で開封してはならない)。
・公証人との打ち合わせの期間が必要。
・証人が2人必要(相続人になる人は証人になることができない)。
・費用がかかる。
※目安として、1億円の財産を3人の相続人に均等に与える場合は、約10万円の費用が必要になる。

 

こんな遺言書は書かない方がマシ

今まで見てきた遺言書のうち、「こんな遺言書なら残さない方がよかったのに」と思ったケース2つを紹介します。

1.書きたい内容が決まっていないのに、何となく書いたもの

遺言書に書きたい内容が決まっていないのに、何となく書いてしまうことは絶対にやめましょう。

以前見たケースでは、まだお若い男性が信託銀行のお付き合いで妻子と自分のきょうだいにも財産を残す旨の遺言書を書いたところ、その後すぐ亡くなってしまったというものがありました。

恐らく男性はまさかすぐ亡くなるとは考えず、何となくきょうだいにも残す旨の遺言書を書いてしまったのでしょうが、残された妻子はその遺言書に翻弄されてしまいました。

人はいつ死ぬかわかりません。

「人の勧めで何となく」「あとで書き直せばいいや」など気持ちが固まっていない状態で遺言書を書いてしまうと、万が一のことが起こった時に大変なことになります。

遺言書の内容は慎重に考えましょう。

 

2.残された家族の気持ちを考えずに書いたもの

遺言書を書くときは、残された家族の気持ちも考えて分け方を決めましょう。

家族の気持ちを考えずに遺言書を書いてしまうと、よかれと思って書いたその遺言書がかえって家族の仲を悪くすることがあります。

「遺言書の内容を見てショックを受けた」という相続人の話を聞いたことも何度かあります。

家族の軋轢を生みそうな遺言書を残す必要があるのであれば、遺言書の最後の「付記事項」に、例えば「〇〇には妻(夫)の面倒を見てほしいから遺産を多く残す」「△△には留学資金を出しているから遺産は少なくても我慢してほしい」など、この遺言書を残す理由をきちんと記すべきでしょう。

 

まとめ

  • 遺言書があれば遺産を好きな人に好きなように残すことができる(ただし遺留分には注意)。
  • 相続争いが考えられる場合、遺言書はその回避のために必須。
  • 遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があるが、後者がおススメ。
  • 適当な内容の遺言書や残された家族の気持ちを考えない遺言書は書くべきではない。

遺言書は認知症になると書くことができません。

書きたい気持ちがあれば、早めに書きましょう。