青色申告特別控除65万円を使うために必要な6つの要件

パソコンを打つ女性

青色申告をすると、所得から一定額を引くことができる「青色申告特別控除」を使うことができます。

青色申告特別控除の金額は、

  • 65万円
  • 55万円
  • 10万円

の3つがあり、帳簿のつけ方や電子申告or紙申告で金額が異なります。

このうち一番金額が大きい65万円控除を使うためには6つの要件があります。

  1. 青色申告をしていること。
  2. 複式簿記による帳簿付けをしていること。
  3. 不動産所得の場合、貸し付けている不動産の件数が事業的規模であること。
  4. 確定申告書に貸借対照表を添付すること。
  5. 電子申告をすること。
  6. 申告期限3/15までに遅れずに確定申告書を提出すること。

要件を1つずつ解説します。

目次

1.青色申告をしていること

「青色申告特別控除」というからには、青色申告をしてなければ受けることができません。

青色申告をするためには、青色申告承認申請書という書類を次の期限までに税務署に提出する必要があります。

  • 青色申告をしようとする年の3/15まで
  • その年1/16以降に新たに事業を開始した場合には、事業開始の日から2ヶ月以内

相続により亡くなった人の事業を承継した場合には、青色申告承認申請書の提出期限が異なります。

▼賃貸不動産を相続した場合の青色申告承認申請書の書き方はこちら。

2.複式簿記による帳簿付けをしていること

65万円控除を使うには、複式簿記による帳簿付けをしなければなりません。

複式簿記とは「仕訳」による帳簿付けのことをいいます。

仕訳とは、「借方」「貸方」という概念を使って1つの取引を複数の科目を用いて記載する方法です。

例えばノートを現金100円で買ったとしたら、

消耗品費 100円 / 現金 100円

というように、「経費が発生した」と「お金が出ていった」という2つの科目を用いて記載します。

複式簿記による帳簿付けには、会計ソフトを使うことが欠かせません。

一方、上記の例で「支出 消耗品費 100円」というように1つの科目のみで記載する方法を「単式簿記」といいます。

単式簿記で帳簿付けする場合、青色申告特別控除の金額は10万円になります。

3.不動産所得の場合、事業的規模であること

不動産の貸付を行う不動産所得の場合、65万円控除を使うには貸し付けている不動産の件数が「事業的規模」でなければなりません。

事業的規模とは、貸し付けている不動産の件数がおおむね

  • 貸家であれば5棟
  • アパートやマンションなどの部屋貸しであれば10室

が目安とされ、これを5棟10室基準といいます。

駐車場など土地の貸し付けであれば5件で1室分と換算するため、土地の貸し付けのみであれば50件貸していないと事業的規模になりません。

4.貸借対照表の添付

65万円控除を使うには、確定申告書に貸借対照表を添付しなければなりません。

貸借対照表とは、青色申告決算書の4ページ目にある書類であり、1/1現在及び12/31現在の資産及び負債の残高を記載する書類です。

▼貸借対照表(不動産所得用)

貸借対照表は、会計ソフトを使っていれば勝手に作ってくれます。

ただし、日々の経理処理が正しくなければ正しい貸借対照表はできません。

預金の金額が通帳と合っているか、未収の金額は正しく計上されているか、借入金の残高は返済予定表と合っているかなど、しっかりチェックしましょう。

5.電子申告をすること

65万円控除を使うためには、電子申告をしなければなりません。

紙で申告書を提出すると55万円控除になってしまいます。

電子申告のやり方は、

  • マイナンバーカード方式:マイナンバーカード+マイナンバーカード対応スマートフォンがあれば、マイナンバーカードをスマートフォンに読み込ませて電子申告する方法
  • ID・パスワード方式:税務署に行って税務署職員と対面による本人確認を行い、ID・パスワードを発行してもらう方法

があります。

詳しくは、国税庁ホームページをご覧ください。

6.提出期限厳守!3/15までに申告をすること

65万円控除を使うためには、確定申告書の提出期限を絶対に守らなければなりません。

確定申告書の提出期限は3/15になります(3/15が土日の場合は翌月曜日)。

もし遅れると、青色申告特別控除は10万円と大幅にさがってしまいます。

青色申告特別控除65万円のまとめ

青色申告特別控除の控除額別の要件をまとめました。

青色申告複式簿記事業的規模
(不動産所得)
貸借対照表電子申告提出期限厳守
65万円控除
55万円控除
10万円控除簡易

55万円控除と65万円控除の違いは、電子申告の有無のみです。

少しでも税金を減らしたいのであれば、電子申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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