2020年の国勢調査による生涯未婚率(50歳時未婚率)は男性25.7%(4人に1人)、女性16.4%(6人に1人)と過去最高を記録しました。
かく言う私もその一人となるでしょう。
独身の方が亡くなった場合、その財産はいったい誰が相続するのでしょうか?
配偶者も子どももいないから国に行くのかな?
独身の方でも相続人がいる場合があります。
独身の方の相続人には誰がなるのかを解説します。
※ここでいう独身とは、子どもがいない方を想定しています。
独身の方の法定相続人には誰がなる?
例えば独身の方がお亡くなりになり、家族構成は父母、姉と弟、姉には子ども2人(亡くなった方から見ると甥と姪)がいるとします。
亡くなった人の財産を相続できる権利のある人を「法定相続人」といい、法定相続人になる順位は民法で決まっています。
法定相続人の順序
- 配偶者は常に相続人
- 第一順位:子ども
- 第二順位:父母
- 第三順位:兄弟姉妹
独身の方が亡くなった場合の法定相続人を詳しく見ていきます。
父母が健在であれば父母が法定相続人
独身の方が亡くなった場合、配偶者と子どもはいないので、父母が健在であれば父母が法定相続人になります。
この場合、姉と弟は法定相続人にはなりません。
※もし父母が先に亡くなっていても祖父母が健在であれば、祖父母が法定相続人になります。
父母が亡くなっている場合、兄弟姉妹が法定相続人
すでに父母が亡くなっている場合、兄弟姉妹が法定相続人になります。
兄弟姉妹が亡くなっている場合、甥姪が代襲相続人
すでに兄弟姉妹が亡くなっている場合、亡くなった兄弟姉妹に子どもがいれば、その甥姪が代襲相続人になります。
代襲相続とは、本来法定相続人となる人がすでに亡くなっている場合、その子どもが代わって相続することです。
もし甥姪も亡くなっている場合、甥姪の子どもがいてもその子は代襲相続人にはなりません。
一人っ子や兄弟姉妹が全員亡くなっている場合
- 一人っ子の独身の方が亡くなり、父母もすでに亡くなっている場合
- 独身の方が亡くなり、すでに父母、兄弟姉妹、甥姪も全員亡くなっている場合
には法定相続人がいないため、遺言書がなければ原則として財産は国に行きます。
▼法定相続人がいない場合の財産の行方については、こちらの記事に詳しく書きましたのでご覧ください。
独身の方が遺言書を書くと遺留分はどうなる?
「お世話になったあの人に財産を全額残したい」と思って遺言書を残したとします。
しかし法定相続人がいる場合、相続人には「遺留分」といって最低限相続できる権利があり、遺言書により財産を受け取った人が遺留分の請求をされるとその分の金銭を渡さなければなりません。
▼遺留分の詳しい記事はこちらをご覧ください。
独身の方が亡くなった場合、法定相続人の遺留分は次のとおりになります。
- 父母が法定相続人の場合:法定相続分の1/3
- 兄弟姉妹が法定相続人の場合:遺留分なし
独身の方が亡くなる場合、たいていは兄弟姉妹(もしくは甥姪)が法定相続人であることが多いでしょう。
兄弟姉妹(甥姪を含む)が法定相続人の場合は遺留分がないため、遺言書を書けば財産を全額好きな人に残すことができます。
まとめ
- 独身の方が亡くなった場合、父母が健在なら父母、父母がすでに亡くなっていれば兄弟姉妹が法定相続人になる。
- 兄弟姉妹がすでに亡くなっていればその子ども(甥姪)が代襲相続人になる。
- 亡くなった独身の方が一人っ子や兄弟姉妹が全員亡くなっている場合、法定相続人は誰もいないため財産は原則として国に帰属する。
- 兄弟姉妹に遺留分はない。
独身の方の相続は今後ますます増えるでしょう。
兄弟姉妹や甥姪が法定相続人になる場合、人数が多かったり交流が希薄だったりという理由で揉めるかもしれません。
生前のうちに財産の行方を考えておいたほうがいいでしょう。