所得税は、所得が高いほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されています。
じゃあ稼ぎすぎると、税金が高くて手取りがかえって少なくなることがあるの?
稼ぎすぎて損ということはありません。ご安心ください。
所得税の累進課税のしくみについて解説します。
給与・事業・不動産所得などの所得税は累進課税
所得税が課される所得は10種類に分けられます。
そのうち「給与所得」「事業所得」「不動産所得」などは、所得が高いほど税率が段階的に高くなる「累進課税制度」が採用されています。
一方、株や不動産を売った儲けに課される所得税の税率は一律です。
このように、所得税は所得の種類によって税率が異なります。
累進課税だと、稼ぎすぎると損する?
所得税の税率は次のとおり、所得金額に応じて7段階に分かれています。
195万円の所得だと、195万円×5%=97,500円
196万円の所得だと、196万円×10%=196,000円
という意味?
これだと稼ぐほど手取りが少なくなっちゃう!
稼ぎや経費を調整して、税率があがらないラインに収めた方がいい?
気にしなくて大丈夫。
そんな逆転現象は起きないしくみになっています。
累進課税のしくみ
税率があがるラインをちょっと超えただけで税金が驚くほど高くなり手取りが少なくなるのか?
そんな逆転現象は起きないのでご安心ください。
累進課税は、自分の所得を上の表の所得金額の区分ごとに税率をあてはめて税金を計算します。
例えば所得が900万円の人の所得税は、900万円×23%=207万円と計算するのではなく、
- 195万円までの部分:195万円×5%=97,500円
- 195万円を超え330万円までの部分:(330万円-195万円)×10%=135,000円
- 330万円を超え695万円までの部分:(695万円-330万円)×20%=730,000円
- 695万円を超え900万円までの部分:(900万円-695万円)×23%=471,500円
- 合計:1,434,000円←こちらが所得900万円の人にかかる所得税
というように計算します。
「所得税の速算表」を使うと一発で所得税が計算できて便利
しかし、わざわざ所得金額の区分ごとに所得税を計算して合計する・・・ではめんどうですよね。
そこで、「所得税の速算表」という表を使うと一発で所得税を計算することができます。
▼所得税の税率を検索すると、こちらの「所得税の速算表」という表が出てきます。
上の表と違い「控除額」というものがあります。
この「控除額」で他の区分の税率との差額を調整します。
この速算表を使って所得税を計算するには、次の手順になります。
- 「課税される所得金額」で自分の所得がどこに当てはまるかを探す。
- 税率をかける。
- ②で計算した金額から、表右の「控除額」を差し引く。
例えば上であげた所得900万円の人の所得税を速算表にあてはめて計算すると、
900万円×23%-636,000円=1,434,000円
となり、上で計算したのと同じ金額になります。
じゃあ、さっきの所得195万円と196万円の所得税は、
195万円の所得だと、195万円×5%=97,500円
196万円の所得だと、196万円×10%-97,500円=98,500円
手取り額は、
195万円の所得だと、195万円-97,500円=1,852,500円
196万円の所得だと、196万円-98,500円=1,861,500円
稼ぐほど税金がとられて手取りが少なくなることはないのね。
そうなんです!
稼ぎと手取りの逆転現象はないので安心してください。
まとめ
所得税は累進課税制度が採用されていますが、税率のラインをちょっと超えたからといって、いきなり税金が高くなり手取りが少なくなるということはありません。
税率のラインを超えそう・・・というのは特に気にしなくて大丈夫です。