「今年はけっこう儲かった!」
仕事が順調で、利益も出ている。
それなのに、翌年になって、
「税金を払ったら、お金がなくなった……」
となる個人事業主の方は、少なくありません。
利益が出ているのに、なぜお金が足りなくなるのでしょうか。
その理由のひとつが、利益が出た翌年に、税金や社会保険料の支払いが増えることです。
「利益」と「手元のお金」は同じではありません
まず知っておきたいのが、
利益が出た=その金額のお金が手元に残る、ではない
ということです。
たとえば、1年間の売上が500万円、経費が200万円だったとします。
単純化すると、
500万円-200万円=300万円
なので、利益は300万円です。
でも、この300万円がそのまま自由に使えるわけではありません。
このあとに、
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険料などの社会保険料
- 消費税や事業税(納税義務がある場合)
などの支払いが待っています。
さらに、事業用のお金から生活費を出していれば、その分だけ手元のお金は減っています。
つまり、
「利益が300万円出た」ことと「300万円のお金が残っている」ことは別の話
なのです。
なぜ翌年にお金が足りなくなるの?
個人事業主の場合、税金や社会保険料の多くは、前年の所得をもとに計算されます。
そのため、
今年の仕事が好調
↓
今年の利益が増える
↓
翌年の税金や社会保険料も増える
ということがあります。
しかも、仕事が好調だった年には、その利益をもとに生活費を増やしたり、事業に必要なものを購入したりすることもあるでしょう。
「今年はこれだけ稼げたから、これくらい使っても大丈夫」
と思って使っていると、翌年になって納税通知書などを見て、
「こんなに払うの?」
となることがあります。
特に注意したいのが「翌年の住民税」
住民税は、前年の所得をもとに計算されます。
つまり、今年の所得が増えた場合、その影響は翌年の住民税に表れます。
今年は忙しく働いてたくさん利益が出た。
でも翌年は、
- 仕事が少し落ち着いた
- 売上が減った
- 大きな経費がかかった
ということだってありえます。
それでも、前年の所得をもとに計算された住民税の支払いはやってきます。
住民税は、確定申告が終わってからしばらく経った5月~6月ごろに納税通知書が届きます。
忘れたころにやってきて、その納税額に驚く方もいるのではないでしょうか。
「今年の売上が減ったから、今年のお金だけ見ていれば大丈夫」ではない
というところが、個人事業主のお金の管理で難しいところです。
国民健康保険料なども前年の所得の影響を受けます
会社員の場合、給与から税金や社会保険料が毎月差し引かれるので、手取り額を見ながら生活することができます。
一方、個人事業主は、自分で税金や社会保険料を支払います。
しかも、前年の所得をもとに今年の負担額が決まります。
そのため、
「売上から経費を引いたら、これだけ残った!」
と考えて、その金額をすべて使ってしまうのは危険です。
「利益が出たからといって、全部使わない」が基本
では、どうすればいいかというと
まずは、
利益が出たからといって、その金額を全部使わない
ことです。
そして、毎月の売上や経費だけでなく、
「これから払う税金や社会保険料はいくらくらいになりそうか」
を早めに把握しておきます。
たとえば、
「今年は去年より利益がかなり増えそう」
ということがわかった時点で、翌年の税金などが増える可能性を考えて、納税用のお金を別に確保しておく方法があります。
税金は「確定申告のときに考える」では遅い
個人事業主の方から、
「確定申告をして、税額が出てからお金を用意します」
という話を聞くことがあります。
もちろん、確定申告をしなければ正確な税額はわかりません。
でも、確定申告の時点で初めて税金のことを考えるのでは、資金繰りが厳しくなることがあります。
前年より売上や利益が増えているなら、
「今年は税金がどのくらい増えそうか」
を早めに考えておく。
これだけで、翌年の「こんなに払うの?」をかなり防ぐことができます。
「儲かったのにお金がない」を防ぐには、利益だけでなくお金を見る
事業を続けていくうえで大切なのは、
利益が出ているかどうか
だけではありません。
「今、口座にいくらあるのか」
「これからいくら支払うのか」
「税金や社会保険料はいくらくらいになりそうか」
まで見ておくことが大切です。
特に個人事業主の場合、
今年の利益が、翌年の税金や社会保険料につながる
ということを頭に入れておきましょう。
「今年は儲かったから、ちょっと贅沢しよう」
というのは、もちろんかまいません。
しかし、その前に、
「このお金、本当に全部使って大丈夫?」
と一度考えてみましょう。
それだけで、翌年の資金繰りは変わってきます。
税金やお金の流れを、一度整理してみませんか?
「利益は出ているけれど、いくら使っていいのかわからない」
「税金を払ったら、手元のお金が足りなくなりそう」
「今年は去年より利益が増えそうだけど、来年の税金が心配」
そんな場合は、利益だけでなく、これから出ていくお金まで含めて整理してみることをおすすめします。
数字を一緒に整理すると、次にやることが見えてきます。

