【個人事業主向け】数字が苦手でもできる!確定申告書を使った簡単な経営分析

「あといくら売上があれば黒字になるの?」
「忙しいのに、お金が残らない」
そんなふうに感じることはありませんか。

そんなときには、確定申告書を使って経営分析してみましょう。
「経営分析」といっても、決して難しいものではありません。
数字が苦手でも、「どこを見ればいいか」さえわかれば、自分の事業がどんな状態なのかがつかめます。

確定申告書を税金計算のためだけに作って、その後見ないなんてもったいない!

経営分析に使うのは、「青色申告決算報告書」です。

目次

まずは「売上」「経費」「利益」を見よう

経営の基本はとてもシンプルです。

  • 売上高:どれくらい仕事をしたか
  • 経費合計:どれくらいお金を使ったか
  • 所得金額(利益):売上-経費、つまり「儲け」

たとえば、
売上1,000万円・経費800万円なら、利益は200万円。
つまり「売上のうち20%が手元に残った」ということです。

まずは、この利益(=所得)がプラスかマイナスかを確認しましょう。
ここがマイナスなら赤字、どこかでお金が出ていきすぎています。

利益が出ているのにお金が減る理由

「利益が出ているのに通帳のお金が減っている」
これもよくある悩みです。

その原因は、利益率の低さにあります。

売上1,000万円で利益200万円なら利益率20%。
一見経営がうまくいってそうに見えますが、この利益から税金・国保・年金・生活費が出ていきます。
また金融機関からお金を借りている人は、利益から元本を返済します。
そう考えると、実際に残るお金はもっと少なくなります。

「利益<生活費など」という状態に陥ると、事業は儲けが出ていても、お金は減ってしまいます。
利益は出ているのにお金が残らないと感じるときは、単価や経費の見直しを考えてみましょう。

経費を「内訳」で見てみる

青色申告決算書の1ページ目には、経費の内訳があります。

  • 広告宣伝費
  • 通信費
  • 交際費
  • 旅費交通費 など

経費をチェックするときのコツは、「前の年の青色申告決算書」と比較することです。

前年と比べて大きく増えている項目がないか、チェックしてみてください。
意外と「なんとなく必要だと思って払っている」経費が多いものです。
数字を並べてみるだけで、ムダが見えてくることがあります。

損益分岐点を知る|黒字と赤字の境目を見える化する

もう少し踏み込んで、自分の損益分岐点も把握してみましょう。

損益分岐点とは「赤字と黒字の境目となる売上額」のこと。
つまり、「いくら売上があれば収支がトントンか」というラインです。

損益分岐点売上の計算方法は、

損益分岐点売上=固定費÷(1-(変動費÷売上高))

損益分岐点を出すときは、経費を「固定費」と「変動費」に分けます。

  • 固定費:売上があろうとなかろうと絶対にかかる経費(家賃・通信費など)
  • 変動費:売上に比例して増える経費(仕入・外注費など)

実際に例を使って説明します。
・売上200
・経費250(内訳は、固定費:150、変動費100)
この場合の収支は、売上200-経費250=△50の赤字 です。

これをトントン(収支ゼロ)にするには、売上を50増やして250にすればいいのでしょうか?

いいえ!
売上が増えれば、変動費も増えます。
したがって、変動費を加味しなければ、収支トントンになる売上を出すことができません。

この場合の損益分岐点売上は、

固定費 ÷(1 − (変動費÷売上高))= 損益分岐点売上
150÷(1 − (100÷200))= 300

つまり、「年間300以上の売上があれば赤字にならない」ということです。
この数字を知っておくと、
「今のペースだと黒字か」「あといくら売上が必要か」が、感覚ではなく数字で具体的にわかるようになります。

特に原価がある事業では、変動費が影響します。
売上目標をたてる際には注意しましょう。

単価と仕事量を切り分けて考える

売上は「単価 × 件数」でできています。
「お客様が増えて忙しいのに利益が増えない」ときは、
単価が低すぎるのかもしれません。

一方、件数が少なくても単価が高ければ、
時間のゆとりを保ちながら安定した経営ができます。

損益分岐点を踏まえて、
「自分の理想の働き方に合う単価はいくらか」を考えると、
数字が経営の道しるべになります。

「いくらお金がほしいのか」をもとに
逆算して理想の売上を計算してみると、目標がたてやすくなります。

前年比で流れを見る

数字は1年分だけ見ても判断できません。
前年と比べることで、事業の流れが見えてきます。

年度売上経費利益
2024年950万円750万円200万円
2025年1,000万円870万円130万円

このように、売上は増えているのに利益が減っている場合、
経費が増えすぎているか、利益率が下がっていることがわかります。

数字は冷たく見えるかもしれませんが、経営の現実を正直に教えてくれます。

まとめ:確定申告書を「経営の地図」にする

確定申告書は、税金を計算するためだけの書類ではありません。
そこには、自分の一年間の行動の結果と、
これからの方向性を考えるヒントが詰まっています。

  • 売上・経費・利益で現状をつかむ
  • 損益分岐点で「黒字ライン」を知る
  • 前年比較で流れを追う

数字が苦手でも、これだけで十分です。
確定申告書を「経営の地図」として見直してみると、
お金の流れが整理され、改善点が見えてきます。

せっかく自由に働くためにフリーになったのだから、
数字を味方にして、欲しいキャッシュを手に入れるための目標をたてましょう。

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この記事を書いた人

相続税申告、フリーランスや小規模な会社のサポート、執筆などの活動をしています。福島県会津生まれ東京育ち。登山(初心者)、ネコ、水曜どうでしょうが好きです。

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