フリーランスが知っておきたい消費税の「納税のタイミング」と「納税資金の備え方」

消費税は、所得税とはまったく別の仕組みで計算されます。

そのため、赤字で所得税がかからなくても、消費税はガッツリかかることがあります。

この記事では、フリーランスが知っておきたい消費税の「納税のタイミング」と「納税資金の備え方」を整理します。

目次

消費税は「2年前の売上」で納税義務が決まる

消費税は、すべてのフリーランスが払うわけではありません。
原則として、2年前の売上(課税売上高)が1,000万円を超えた場合に、消費税の納税義務が発生します。

たとえば、

  • 2023年の売上が1,000万円を超えた → 2025年に消費税を納める
  • 2023年の売上が1,000万円以下 → 2025年は免税事業者で納税不要

このように、売上が1,000万円を超えた年と、実際に消費税の申告・納税が発生する年が「2年ずれる」のが特徴です。

ただしインボイス制度に登録した場合は、2年前の売上が1,000万円未満でも登録した年から消費税の申告・納付が必要になります。

消費税を払うタイミングは「年1回」が基本

個人事業主(フリーランス)の場合、消費税の納付は原則として年1回、確定申告の時期に行います。

  • 計算期間:その年の1月1日~12月31日
  • 申告・納付期限:翌年3月31日(所得税より半月遅い)

つまり、2025年分の消費税は、2026年3月31日までに申告・納付します。

納付方法は、

  • 金融機関の窓口
  • インターネットバンキング
  • QRコードを発行してコンビニ納付
    などから選べます。

ただし、消費税の納税額が大きい場合は、中間納付(年2回や年3回)を求められます。
これは、前年度の納税額が48万円(地方消費税を含まない金額)を超えた場合に、次年度に前払いを求められる仕組みです。

たとえば、

【2025年分の消費税額:78万円 地方消費税:22万円 の場合】
2026年3月31日までに78万円+22万円=100万円 を納付

消費税額78万円>48万円 のため
2026年8月31日までに中間納付100万円÷2=50万円を納付

※中間納付した50万円は、2026年分の確定申告の際に控除されます。控除しきれない金額は還付されます。


毎年1回まとめて払うつもりでいると資金繰りが苦しくなることがあるので、早めに見積もっておくと安心です。

納める消費税はいくらくらい?目安をつかもう

ざっくりと目安をつかむ

消費税は、原則として「預かった消費税 - 払った消費税」で計算します。

たとえば、

  • 売上が1,000万円(税込1,100万円)
  • 経費が400万円(税込440万円)

この場合、

  • 預かった消費税:100万円(1,100万円-1,000万円)
  • 支払った消費税:40万円(440万円-400万円)
    となるため、差額の60万円が納税額の目安です。

実際には、10%と軽減税率8%が混在したり、非課税取引があったりしますが、
ざっくりしたイメージとして「売上の6〜8%くらいが手元から出ていく」と考えておくと資金繰りが安定します。

納税資金の備え方

消費税は自分のお金ではなく、「お客さまから預かっているお金」です。
そのため、売上が入金された時点で消費税の納税分を別口座に分けておくのがおすすめです。

たとえば、去年の消費税の納税額を12で割った金額を月末に別口座に移しておけば、
消費税分を運転資金や生活費に使ってしまう心配がなくなります。

また、会計ソフトを使っている場合は、毎月の「消費税残高」や「納税見込額」を確認できる機能があります。
早い段階で税額の見込みをつかんでおくと、資金繰りの計画も立てやすくなります。

***

消費税は計算ルールが所得税とは異なり、赤字でも納税があることが多いです。
また原則は年1回の納付ですが、金額が大きくなると中間納付も発生します。

預かった消費税をつい使ってしまい、納税できない事業者が多いことが、たびたびニュースになります。

入金があるたびに少しずつ納税用の資金を確保しておけば、確定申告の時期に焦ることはありません。
「消費税は自分のお金ではない」と割り切って管理しておくと、資金繰りが安定します。

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この記事を書いた人

相続税申告、フリーランスや小規模な会社のサポート、執筆などの活動をしています。福島県会津生まれ東京育ち。登山(初心者)、ネコ、水曜どうでしょうが好きです。

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